認知症・物忘れ相談
認知症・物忘れ相談とは
当院では、最近になって物忘れがひどくなったなど認知症の症状がみられるという方を対象にした診療を行っています。ただこのような場合というのは非常にデリケートな問題でもあります。そのため、ご本人様が認知症(物忘れ)に関する診察に抵抗を感じているのであれば、まずご家族の方のみのご相談も承ります。お気軽にお問い合わせください。
認知症について
認知症は病名ではありません。何かしらの原因(アルツハイマー病や脳血管障害など脳の病気、頭部外傷 等)によって脳に機能障害(記憶障害、注意傷害 など)が起き、それらが持続的に進行してしまうことで、日常生活にも影響が及んでいる状態のことを言います。なお認知症のタイプでよくみられるのは、アルツハイマー型認知症、血管性認知症、レビー小体型認知症、ピック病(前頭側頭型認知症)です。
高齢者になるほど認知症の発症率というのは上がっていきます。具体的には65~69歳の有病率は1.5%程度ですが、85歳以上となると27%まで上昇するようになります。なお認知症は、脳の機能障害によって、記憶障害、見当識障害、実行機能障害、失語、失行、失認などの中核症状がみられるほか、患者様本人の性格や周囲の環境などから周辺症状(うつ症状、徘徊、暴言・暴力、せん妄、幻覚、失禁、性格の変化 など)も現れるようになります。
このように症状が幅広いため、よく似た症状の病気と見分けがつかないということがあります。具体的には、仮性認知症(うつ病)、薬剤の影響によるせん妄、加齢によって認知能力が低下していく老化現象(物忘れ)、甲状腺機能低下症による認知機能の低下ということもあります。これらと認知症では治療内容が異なりますので、しっかりとした鑑別が必要となります。その結果、もし認知症と診断されたとしても、現状では完治が難しくとも、薬物療法などによって、進行を抑えることは可能です。いずれにしましても早期発見、早期治療が重要です。
以下のような症状に心当たりがあれば、一度ご相談ください
- 同じことを何回も聞く、発言する
- 食事をしたかどうかを覚えていない
- 通い慣れている場所なのに道に迷うことがよくある
- 大事なもの(財布、鍵、クレジットカード など)をよく紛失する
- いきなり怒り出す
- 物盗られ妄想(財布が盗まれたと騒ぐ など)がよくみられる
- これまでの趣味や好きなことに関心がなくなった
- 服薬管理ができない
- 今、自分がどの場所にいるかわからない
- 目的もないまま徘徊し、家(元の場所)に戻ることができない
- 水道の蛇口を閉め忘れる、鍋を焦がすなどの行動がよくある
など
認知症の治療について
先にも少し触れましたが、認知症の治療では、進行を遅らせる薬物療法というのがあります。ただ、それ以外にも治療をするにあたっては、患者様ご本人や同居するご家族の方にお困りごとに関するヒアリングも行います。そのうえで、薬剤による治療や受け入れ環境の整え方などについてプランニングしていきます。当院は、些細なことでも患者様やご家族の方が相談できやすくなるようコミュニケーションを大切にしています。
薬物治療について
アルツハイマー型認知症、レピー小体型認知症の患者様には、認知機能低下を改善させる薬としてアリセプト(ドネペジル)を使用し、進行をできるだけ遅らせるようにします。またレピー小体型の患者様でパーキンソン病の症状もみられる抗パーキンソン薬も使用します。ピック病については、有効な治療法が現時点では確立されていません。また、どのタイプの認知症に限らず周辺症状(不安・焦燥、妄想、怒り など)がみられるのであれば、対症療法として抗精神病薬を使用していきます。
また脳血管型認知症は、脳血管障害(脳梗塞、脳出血 など)を発症することがきっかけとなりますが、この病気を再発すると認知症の症状をさらに悪化させます。多くは、脳梗塞発症の原因となる高血圧や糖尿病などを抑えるための治療薬を用います。